ギャラリーカフェをつくる話



私達には3人の息子がいます。
長男は東京で写真家を志し、次男も東京で映像の仕事に就いています。おまけに三男も同じマンションに転がり込み、この春学校を卒業して音楽の道に進もうとしています。

子育ても終わろうとする今、ふと自分達のことを振り返ってみると、私は商業写真の仕事に就いて30年、妻も長年勤めた職を辞し私の仕事のパートナーとして共に歩んできました。

おかげさまで仕事は途切れることもなくここまでこられたのですが、しかしこの頃、目や体力の衰えとともに世間でいう定年のようなものがフリーカメラマンの私にも近付きつつあると感じられるようになってきました。

クライアントの注文に応じる写真の撮影は体力と根気が勝負です。
このままがむしゃらに仕事を続けていくのか、新しいスタイルでいくのか、いろいろと考えた挙げ句・・・「ここらで人生 すこしかえようか・・・」

「老後はギャラリーと喫茶店でもして好きな写真を撮って暮らせたらなあ」と思ってはいたのですが、よく考えれば、老後、働けなくなってからでは遅すぎることに目覚め、おもいきって自宅のスタジオをギャラリーカフェに改造する工事を始めました。

秋には、私はギャラリーのオーナーと写真家として、妻はコーヒーたてて、「はじめの一歩」が始まります。
想えば、私の父も国家公務員を退き新しい職に就いたのが54歳、今の私の歳だったのです。

亀村俊二

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