フリーのカメラマンという仕事柄、浮き沈みというものも多々ありました。
30歳のころ順調に進んでいた出版社の仕事が、本の売れ行きが悪くて、ある日突然に 凍結することになってしまったのです。
忙しくなるのでよろしく頼むと言われていたので、私は助手を雇って新しい撮影機材も買い込みおまけに中古のマンションまで購入した矢先の出来事でした。
困り果てて仕事を探し廻っている私に、妻の母が当時勤めていた会社の上司のKさんと会って相談するようにと話しを進めてくれました。
私は勇んでKさんに会いに行きました。
Kさんは3枚の名刺にそれぞれ紹介する出版社や代理店の担当者の名前そしてその下に「亀村俊二君を紹介します」と書いて「この名刺を持って会って来なさい」と言ってくれたのです。
早速、私の撮った写真と渡された名刺を大事に持って紹介された三つの会社の担当者に会いに行きました。
Kさんからの紹介の名刺を渡すと快く私の写真を見てもらうことが出来ました。
そして幸運なことにそのうちの2社からすぐに撮影の依頼を受けることが出来たのでした。
窮地を救われたほんとうに大きな出来事でありました。
あれから30年、今はもうそれらの会社の撮影はしていませんがその会社からの紹介を受けて次々と繋がって今に続いています。
大きなきっかけを作ってくれた義母は昨年の暮れに88歳で亡くなりましたが「あの三枚の名刺に救われたなあ」と時折、想い起こすことがありKさんや義母に今も大変感謝しております。
亀村 俊二
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