出会い・パリのカフェで



91年にパリで一ヶ月間の個展を開いた時のことです。

会場はパリの中心サントノーレ通りに面した小さなギャラリーです。
開催日の前日、妻と二人で作品を展示、事前に用意された案内状は配布ずみ、ポスターは街角に守備よく掲示されたはず、さあ、個展は始まりました。

ところが、来るはずのお客はほとんど来ません。二日目、三日目とお客が入らないのです。

私と妻は会場にだんだん居づらくなってきて、パリの街を散策して一日を過ごすことにしました。そして、ある重大なことに気付きました。
街角に貼られてあるはずの数百枚の展覧会のポスターがどこにも見あたりません。ギャラリーの周辺に数枚寂しそうに貼られているだけでした。
そうすると案内状の配布も・・・?

すぐにギャラリーの担当者にポスターや案内状のことについて尋ねてみました。
答えは「アルバイトのものにさせたのですが・・・」
本当に悔しい思いのパリの個展でした。

この話にはまだつづきがあります。
次号も読んで頂ければうれしいです。

亀村俊二

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