15年前、私が始めて写真の授業を担当した教え子から
連絡があり、我が家に遊びに来ることになりました。
彼女が卒業してから、久しぶりに会えるので私は朝からすべての用を済ませ今か今かと待っていました。
彼女は同級生をつれて3人で約束の時間に
やってきました。
コーヒーを飲みながらそれぞれに近況を語り合い懐かしい話で盛り上がっていました。
突然、なかの一人が、「先生それでは本題に入ります。」
と照れくさそうに、鞄から数冊の写真集を取り出したのです。
「これ、先生からお借りしてた本です。 」
「ずっと気になっていたのですが、今になってしまって」
「これを返すまで先生にあわす顔がないと、いつも思ってました。」
「すみませんでした。」
彼女は申し訳なさそうにあやまりました。
写真集を貸していたことさえ忘れていた私は 笑ってその本を受け取るとともに
彼女のほっとした視線を感じました。
こんなにうれしいことはありません。
彼女たちが帰って行った明くる日
15年もの長い間、借りっ放しになっていた本を勇気を出して
返しに来てくれた彼女のことを想い
誰にでもこんなことって、あるなあと想像したとき
そうです、自分にもある、いろいろと
世間に不義理してきたことが・・。
返って来た本を見つめながら
なんだか考えさせられる思いでありました。
亀村 俊二
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