この春の次男の結婚披露宴でのことです。
次男・佳宏と麻美さんがふたりで工夫を凝らした レストランでの披露宴はたいへんなごやかに進んでおりました。
私は両家を代表してお礼の挨拶をすることになっていたのですが、挨拶の途中感極まって涙してしまわないか心配しながらも宴はお開きに近づいていきました。
おいしい料理やお酒、楽しいひとときのおかげで、涙のことなどすっかり忘れてしまった私は心配するほどのこともなく挨拶をすませることができたのです。
次に新郎の挨拶が始まりました。
ところが、最初の一言はよかったのですが次の言葉が出て来ません。 あまりにも長い沈黙が続くのでそっと佳宏の顔を覗いてみるとうつむいた彼の目もとには感激の涙があふれていたのです。
沈黙は続きます・・・。
誰もが諦めかけたその時、お礼の挨拶のつづきが始まりました。
夫にかわって、妻になったばかりの麻美さんのそのあいさつは 佳宏が忙しい仕事の合間を縫ってすすんで結婚式の準備に追われてくれたことなど夫への労いの言葉と 参列の皆様への感謝の気持ちが二人からのメッセージとしてしっかりと綴られておりました。
宴もことなく終わってほっとした私たち夫婦に先方のご両親が恐縮されるばかりです。
「もうしわけございません。」「麻美が、挨拶なんかしてしまって・・・」
実を言うと、私も肝心な時には妻に助けてもらってきた人生。
「ああ、良かった、良かった、奥さんがしっかりしていてくれて」とお嫁さんにこころより感謝するばかりなのでした。
亀村 俊二
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